広告 ホラー

異次元の遊び場~夜の公園での不可解な出会い~

 
 

月が薄雲に隠れる深夜、私は都会の雑踏から逃れるように、孤独な公園のベンチに腰を下ろした。

街灯の淡い光がゆらゆらと揺れる中、夜の虫たちのささやかな合唱が耳に触れてきた。

スマホの漫画に没頭していた私の周りは、一瞬にして重苦しい静寂に包まれた。

その静けさの中、遠くから子供の声が聞こえてきた。

しかし、その声には無邪気さがなく、かすれたような絶望的な響きが混ざっていた。

背筋が凍るような気持ちでスマホの時計を見ると、深夜12時を大分過ぎていた。こんな時間、そしてこんな声で子供は一体何を…?

目を上げると、3人の子供の影が、滑り台の辺りで何かを追いかけている。

その中でも、ある女の子の姿が特に印象的だった。彼女の歩き方は他の二人とは全く異なっていた。

一歩進めるごとに、彼女の片足はねじれ、まるで壊れた人形のように不自然に内側へ向かって曲がっていた。

その異様さが、彼女の動きに一種のリズムを与えていた。彼女が地面に足をつけるたび、不規則に足首がゆっくりと左右に揺れていた。

まるで、骨がゆがんでいるか、それとも足の筋肉が正常に機能していないかのようだった。

その異常な歩行に、私の背筋は冷えていった。

頭の中では理性が「ただの子供だ」と言っているのに、心の底から湧き上がる恐怖は抑えきれず、思わず息を詰め、固く握ったスマホが手の中で冷たく感じられた。

彼女の方に目が釘付けになってしまい、その時、彼らが遊んでいたボールが私の方へ転がってきた。

再び彼女を見ると、彼女の顔がほんのりと月明かりに照らされていることに気付いた。

その顔は純粋で無垢な子供のそれであるはずなのに、何とも言えない不安定な歩き方とのギャップが、一層私の恐怖を増幅させた。

彼女の瞳は深い黒さで、それが私をじっと見つめてくる。

彼女が一歩ずつ、ゆっくりと私の方に歩み寄ってくるたびに、その異様な足元が地面と摩擦し、薄暗い公園内に微かにギシギシという音を立てていた。

その音は、静かな夜の中で異常に大きく聞こえ、私の耳に突き刺さるようだった。

彼女が近づくにつれ、空気の流れすら彼女の周りで歪んでいるかのように感じられ、私は自らの呼吸の音だけが異様に大きく響くのを感じた。

彼女がさらに近づくにつれ、その顔の異常さが鮮明に現れた。

彼女の目は、通常の位置とは逆に、涙の通り道が上に、白目が下に位置していた。

その異様な歩き方と、彼女の目と足の異常さが合わさることで、彼女の存在自体がこの世のものとは思えない、異次元の恐怖を私に感じさせていた。

彼女は私の目の前で、ゆっくりと足を止めた。

周りの音が消え、静寂が広がる中、私は彼女の異様な姿に息をのんだ。

その目が逆さまになっている顔は、顔色が青白く、何か悲しそうな、または痛そうな表情をしていた。

そして、彼女の薄い唇が動き、ひっそりとした、だがどこか甘えたような不安げな声で「お姉さん、これ、合ってる?」と囁いた。

彼女の手は、指の関節がおかしく曲がり、皮膚の色もどこか異様で、血の通っていないように見えた。

その異様な手を、ゆっくりと私に差し出した。

私の心臓は猛烈に高鳴り、頭の中が真っ白になった。

周囲の音、光、全てが遠くなり、私の前には彼女の異様な姿とその歪んだ手だけがクリアに浮かび上がった。

不意に、彼女の瞳の中に深い闇が広がり、その闇から、何かが私を呼ぶような囁きが聞こえてきた。それは、まるで何世代にもわたる悲しみと絶望が詰まったような声で、私の魂を引きずり込むかのようだった。

「お姉さん、お姉さん、お姉さん...」

彼女の唇から漏れるその呼びかけは、歪んでおり、ねちっこく響き渡り、夜の静寂を切り裂いていた。周囲の気温はさらに急激に下がり、吐息が白く凝結して、彼女の周りには微かな霧が立ち上っていた。

突然、彼女の体が不規則に震え始め、その逆さまの手がゆっくりと私に伸びてきた。手の甲からは紫がかった静脈が浮き出ており、手のひらの中央には古い痕跡のようなものが見えた。

一歩も動けず、固まっている私を前に、彼女のその冷たく湿った手が私の顔に迫ってきたが、その瞬間、遠くで「リサ!」という絶叫が響いた。

彼女は突如、その声の方向に頭を向け、驚愕の表情を浮かべて元の場所へと逆さの足で歩き出した。

私はその後、気が遠くなるような感覚とともに、どこかへ逃げ出し、振り返ることなく家の方へと走り続けた。

家にたどり着いたとき、私の全身からは黒い粘液が滴り、部屋の隅でくねくねと動いていた。何が起きたのかを理解する余裕もなく、ただただ恐怖に打ち震えていた。

後から聞いた話によると、その公園の近くで数十年前に悲惨なバラバラ殺人事件が起きたことがあるそうだ。

被害者は数人の地域の子供たちで、それぞれの体の一部が無残にも逆さまに繋ぎ合わせられていた。

この事件は未解決のまま時間が流れ、その不気味な事件が都市伝説と化し、一部の人々は公園が呪われていると囁いていた。

しかし、その夜、私はその都市伝説がただの虚構ではないことを痛感した。

彼女が見せてくれたその手は、人間の手ではありえない形と変色をしていた、そしてその逆さまの目と足、それはまさに都市伝説が現実になったかのような恐怖を私に感じさせた。

私の心臓はその異様な光景に耐えかねて、猛烈な速度で鳴り響いていた。


 

当ブログへのお問い合わせは「こちらのお問い合わせのページ」からお願いします。
コメントにつきましては最下部のコメント欄から頂けると幸いです。

 

  • この記事を書いた人

meganuma

ブログ運営者のmeganumaです。 若かったころに戻りたいとは思わない。なぜなら今を楽しんでるから(たぶん…)。 1979年の福岡生まれで福岡育ち。娘と息子、妻との四人、福岡の田舎で暮らしています。 楽しかったことや、オリジナルストーリー等、いろんな情報を発信したいと思っています。

-ホラー